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バイオを応用して開発中の新薬を紹介した本です。2001年10月に出版したものです。Amgen社のEPOGEN誕生の経緯やグリベック誕生までの道のりなど、現在販売されているバイオ医薬品の歴史について知りたい方には役に立つのではないかと思います。
[記事] 「ペルゴリドやカベルゴリンの使用は心臓弁逆流のリスクを高める」へのコメント
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▽ペルゴリドやカベルゴリンの使用は心臓弁逆流のリスクを高める
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=17237
▽ペルゴリドやカベルゴリン服用患者には心臓弁逆流が頻発する
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=17238
ペルゴリドやカベルゴリンが心臓弁膜症を引き起こす詳細なメカニズムは不明ですが、以下に示すようなこれまでの研究からセロトニン5-HT2B受容体がそのメカニズムの重要な一部を担っていると考えられています。
1997年にConnolly等が食欲抑制剤・fenfluramine (フェンフルラミン、Pondimin) /dexfenfluramine (デクスフェンフルラミン、Redux) と心臓弁膜症が関連することを報告しました(1)。
その後2000年には、フェンフルラミンの活性代謝物・norfenfluramineは強力な5-HT2B受容体アゴニストであることを示す研究成果が発表されました(2)。5-HT2B受容体は心臓弁に豊富に存在し、正常な心臓の発達に不可欠な受容体と考えられています。
さらにその後、心臓弁膜症との関連が報告されている麦角製剤・エルゴタミンが5-HT2B受容体を活性化することや、典型的な心臓弁膜症誘発剤・メチセルギドの活性代謝物・methylergonovineも非常に強力な5-HT2Bアゴニストであることを示す研究成果が発表されました(3)。
これらの結果から、5-HT2B受容体の活性化は、薬剤誘発性心臓弁膜疾患の発現における重要なステップであると示唆されました。
弁膜症を誘発する薬剤は、5-HT2B受容体を活性化することでヒト心臓弁の間質細胞の分裂を誘導することが示されています(3)。
このことから、詳細なメカニズムは不明ですが、通常なら分裂しない弁膜細胞への不適切な増殖刺激によって5-HT2B受容体誘発性の心臓弁膜症が引き起こされると示唆されました。
今回NEJM誌に新たに発表されたSchade等の研究(4)では、6種類のドパミンアゴニストのうち、強力な5-HT2B受容体アゴニストであるペルゴリドとカベルゴリンの2つのみが心臓弁膜症と関連することが示されています。
特筆すべきこととして、5-HT2Bに関連する5-HT2Aと5-HT2C受容体のアゴニストではあるが5-HT2B受容体アゴニストではないドパミンアゴニスト・リスリド(Lisuride)と心臓弁膜症に関連は認められませんでした。
この知見は、薬剤誘発性の心臓弁膜症の進行の重要なステップに5-HT2B受容体が関与しているという仮説を後押しする結果となっています。
今後は、薬剤開発の際に、有効成分またはその代謝物に5-HT2B受容体刺激作用がないかどうかを製薬会社は臨床試験を実施する前に詳しく調べる必要があるでしょう。
また、医師は、5-HT2B受容体刺激作用がある薬剤の処方には注意を払う必要があります。
(1)Connolly HM, Crary JL, McGoon MD, et al. Valvular heart disease associated with fenfluramine-phentermine. N Engl J Med 1997;337:581-588. [Erratum, N Engl J Med 1997;337:1783.]
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/337/9/581
(2)Rothman RB, Baumann MH, Savage JE, et al. Evidence for possible involvement of 5-HT(2B) receptors in the cardiac valvulopathy associated with fenfluramine and other serotonergic medications. Circulation 2000;102:2836-2841.
http://circ.ahajournals.org/cgi/content/abstract/102/23/2836
(3)Setola V, Hufeisen SJ, Grande-Allen KJ, et al. 3,4-Methylenedioxymethamphetamine (MDMA, "Ecstasy") induces fenfluramine-like proliferative actions on human cardiac valvular interstitial cells in vitro. Mol Pharmacol 2003;63:1223-1229.
http://molpharm.aspetjournals.org/cgi/content/abstract/63/6/1223
(4)Dopamine Agonists and the Risk of Cardiac-Valve Regurgitation. NEJM. Volume 356:29-38 January 4, 2007 Number 1
http://content.nejm.org/cgi/content/short/356/1/29
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ペルゴリドやカベルゴリンの使用は心臓弁逆流のリスクを高める