乳幼児突然死症候群ではセロトニン機能不全を示唆する徴候が延髄に認められる
- 2006-11-01 - 延髄のセロトニン神経は、脳幹や脊髄の自律神経核や呼吸核へ広範囲に投射しています。これまでに、延髄の5-HT受容体結合に異常が認められる乳幼児突然死症候群(SIDS)幼児の症例が報告されており、SIDSの一部と延髄の5-HT機能不全が関連するのではないかと示唆されています。 (5 段落, 490 文字)
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▽乳幼児突然死症候群ではセロトニン機能不全を示唆する徴候が延髄に認められる
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=16018
これまでにも延髄の5-HT受容体結合の異常がSIDSに関連することが報告されてきましたが、今回の報告から多くのSIDS幼児に延髄の5-HT機能不全が関連している可能性があると分かりました。
この報告に関連した以下のエディトリアルに、この報告の限界、アメリカでのSIDSの現状、SIDS研究今後の展望がまとまっています。
▽Sudden Infant Death Syndrome
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/296/17/2143
2003年の白人幼児におけるSIDSの発現率は0.424/1000生産児(0.424 per 1000 live births)と低い値になっていますが、黒人幼児でのSIDS死亡率はその2.7倍高い1.152/1000生産児となっています。
今回JAMAに発表されたSIDS幼児は主に白人とヒスパニックなので、今後は、SIDSになりやすい黒人を含めた神経学的な調査を進めていく必要があるでしょう。
アメリカではBack to Sleepという教育プログラムが功を奏してSIDSは減っていますが、20003年には依然として2162人の幼児がSIDSで死亡しています。
また、仰向けに寝せるように積極的に啓蒙しているにも関わらず、今回のJAMA報告でのSIDS犠牲者のおよそ半数以上(15/31)は死亡発見時にうつぶせ寝の状態になっていました。
このことから、エディトリアルの著者はBack to Sleepキャンペーンを再度実施する必要があるし、各人種にフォーカスした新たな介入を導入する必要があると主張しています。
ところで日本の研究者等も、日本のSIDS幼児において延髄の5-HT受容体結合の低下が認められたことを報告しています。
Alteration of serotonergic receptors in the brain stems of human patients with respiratory disorders. Neuropediatrics. 2002 Jun;33(3):142-9.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=retrieve
\n&db=pubmed&list_uids=12200744&dopt=Abstract
人種を超えてセロトニンの機能不全がSIDSに関与している可能性は高そうです。今後さらに詳しいメカニズムが解明されれば、有効な予防法も自ずと開発されていくでしょう。