キバナアザミが作る経口投与可能な成分クニシンの神経再生促進効果が判明
 ・ 誤解を訂正しました(オオアザミ→キバナアザミ)。
Rocheの年2回皮下注射Ocrevusが多発性硬化症の再発や脳病変をほぼ完封
 ・ Ocrevus静注が承認済みである旨追記しました。
血流の妨げはないが危うい冠動脈硬化巣の経皮冠動脈インターベンションが有効
 ・ 誤記を訂正しました(再度の血行再建→血行再建)
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[記事]2型糖尿病の肥満患者に対してリモナバンが有効」へのコメント

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「リモナバン服用で体重以上にHbA1cが低下」

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2型糖尿病の肥満患者に対するCB1受容体阻害薬・リモナバンの有効性と安全性を検討した試験(RIO-Diabetes試験)の成果が2006年10月27日のLancet誌に発表されています。

 ▽2型糖尿病の肥満患者に対してリモナバンが有効
  http://www.biotoday.com/view.cfm?n=16089

RIO-Diabetes試験では、リモナバン20mg/日投与群の方がプラセボに比べてHbA1cが0.7%より多く低下しました。

HbA1cの1%低下は、糖尿病に関連したエンドポイントリスクの21%低下と関連することから、リモナバン20mg/日投与群でのHbA1c低下はとても意義があります。

研究者等の統計によると、この0.7%の低下の57%は体重低下とは独立しており、この57%の余分なHbA1cの低下には末梢でのCB1阻害メカニズムが関与していることを示唆しています。

末梢でのリモナバンの作用メカニズムについてはいくつかの報告があります。

Bensaid等(1)の報告では、リモナバンは脂肪細胞でのAcrp30のmRNA発現を亢進させることが確認されています。Acrp30は脂肪酸化・高血糖・高インスリン血症低下と体重低下を促進する血漿タンパク質です。

Liu等(2)の報告ではリモナバンは筋肉でのグルコース取り込みを促進して熱発生を活性化することが示されています。

Cota等(3)の報告では、リモナバンが阻害するCB1受容体の選択的な活性化によってマウスの脂肪細胞の脂質生成が亢進することが確認されています。

その他に、リモナバンはアディポネクチンの分泌を亢進させることを示した報告(4)があります。

アディポネクチンの血漿中濃度はインスリン感受性と相関します。また、アディポネクチンレベルは肥満患者や2型糖尿病患者で低下していることが知られています。

さらに、肝臓での脂肪酸合成や脂質蓄積を阻害することを示した報告も存在します(5)。

肝臓での脂肪酸合成や脂質蓄積はインスリン抵抗性や異常脂質血症に関与しています。

これらのリモナバンの作用が、体重低下から予想されるHbA1cレベル低下以上の改善に結びついた可能性があります。

ただし、この報告に関連したLancetのコメント(6)において、体重低下による効果を上回るHbA1cの低下についてはより詳細な調査が必要と主張されています。

その理由として、殆どの読者にとって理解するのが困難な統計モデルを使って体重低下以上のHbA1cメリットのデータが形成されていることがあげられています。


(1)Bensaid M, Gary-Bobo M, Esclangon A, et al. The cannabinoid CB1 receptor antagonist SR141716 increases Acrp30 mRNA expression in adipose tissue of obese fa/fa rats and in cultured adipocyte cells. Mol Pharmacol 2003; 63: 908-914.
http://www.thelancet.com/journals/lancet/medline/record/MDLN.12644592

(2)Liu YL, Connoley IP, Wilson CA, Stock MJ. Effects of the cannabinoid CB1 receptor antagonist SR141716 on oxygen consumption and soleus muscle glucose uptake in Lep(ob)/Lep(ob) mice. Int J Obes Relat Metab Disord 2005; 29: 183-187.
http://www.thelancet.com/journals/lancet/medline/record/MDLN.15558076

(3)Cota D, Marsicano G, Tschop M, et al. The endogenous cannabinoid system affects energy balance via central orexigenic drive and peripheral lipogenesis. J Clin Invest 2003; 112: 423-431.
http://www.thelancet.com/journals/lancet/medline/record/MDLN.12897210

(4)Despres JP, Golay A, Sj?str?m LRimonabant in Obesity-Lipids Study Group. Effects of rimonabant on metabolic risk factors in overweight patients with dyslipidemia. N Engl J Med 2005; 353: 2121-2134.
http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/353/20/2121

(5)Osei-Hyiaman D, DePetrillo M, Pacher P, et al. Endocannabinoid activation at hepatic CB1 receptors stimulates fatty acid synthesis and contributes to diet-induced obesity. J Clin Invest 2005; 115: 1298-1305.
http://www.thelancet.com/journals/lancet/medline/record/MDLN.15864349

(6)Does rimonabant pull its weight for type 2 diabetes?
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS014067360669572X/fulltext

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2006-11-05 - 選択的カンナビノイド1型受容体遮断薬・リモナバン(Rimonabant)は、糖尿病ではない肥満患者の体重を減らし、心血管危険因子や代謝性危険因子を改善します。
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