マラウィではクロロキンの抗マラリア効果が復活している
- 2006-11-09 - 熱帯性マラリア(falciparum malaria)の治療においてクロロキン(chloroquine)に対する抵抗は大きな課題となっています。 (4 段落, 393 文字)
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▽マラウィではクロロキンの抗マラリア効果が復活している
http://www.biotoday.com/view.cfm?n=16170
初期の試験の結果から、クロロキン感受的なマラリアに比べてクロロキン耐性マラリアはより健康であることが示唆されていました。このことから、たとえクロロキンの使用をやめてもクロロキンの効果が復活すると考える人は殆どいませんでした。
しかし、クロロキンの使用を控えるようになったマラウィやアジアの一部では、クロロキン耐性に関与するPfCRT変異の消失または低下が認められました。
PfCRT遺伝子はマラリアのトランスポーターと推定されるタンパク質をコードしており、この遺伝子の変異はクロロキン耐性において中心的な役割を担っています。
そこで臨床試験でPfCRT遺伝子変異消失の臨床上の意義を検討したところ、変異の消失とクロロキン感受性の復活が関連することが確認されました。その結果が今回NEJM誌に発表されました。
ではクロロキンをマラウィで再度使用すべきかというと、それはするべきでないと著者等は言っています。なぜならマラウィはクロロキン抵抗性の国に囲まれており、クロロキンの使用を再開したらすぐにクロロキン抵抗性が発現してしまうと想定されるからです。
クロロキン不在下でクロロキン耐性マラリアが減っていることから、クロロキン耐性マラリアは生存において不利な点があると考えられ、この生存不利を克服する変異も起きていないようです。
したがって、クロロキンは“新薬”として再び使用できる可能性があります。ただし、新薬として復活するには、クロロキンは一旦マラリア治療の舞台から姿を消す必要があります。