女性の血漿は危険ではない
- 2007-10-25 - 女性ドナーから輸血された血漿は、稀な疾患・輸血関連急性肺障害(TRALI)の原因と想定されています。TRALIは稀な疾患であり、その頻度は1件/輸血1300件〜1件/輸血5000件と想定されています。アメリカでは、TRALIは輸血に関連した死の主な原因となっています。 (4 段落, 430 文字)
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女性の血液輸血が原因だと考えている人がいるのは意外で、なぜ、そんなこと考えるのだろうとおもって簡単に検索したところ、最近の報告では以下のようなものを見つけました。
▼ J Bras Pneumol. 2007 Apr;33(2):206-12.
Transfusion-related acute lung injury.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=Det
\nailsSearch&Term=17724541%5Buid%5D
この報告では、多くのTRALIのドナーが2回以上の出産経験を持つ女性であったということが書かれているようです。
今回の記事では、「血液バンクが女性ドナーからの血漿の使用を制限する」ことを検討しているということでしたが、女性からの輸血でTRALIが起こりやすいことと関係あるのでしょうか?もし、こうした理由だけで女性の献血をうけいれないのだとしたら、ずいぶんと極端な行動に出るものだと感じました。
他にもいろいろな理由があるのでしょうが、なぜTRALIが女性からの輸血で多いのかは(上記論文にまだ目を通していないので・・・)不思議です。
最近、TRALIも少しずつ注目されるようになってきた気がしますが、5000分の1の確率で起こることを予防しようとして血液確保の道を狭めるよりも、5000分の1の出来事が起こってしまったときにどうすればよいかを啓蒙することも大切だろうと思います。当然、輸血に関連して肺損傷が起こり得ることは十分に周知すべきことだとは思います。
はやり、「制限は時期尚早と示唆されました」と今回の記事にあるように現段階での判断は時期尚早だと思います。
女性の血液が危険だという前提条件にギョッとしたので、久々にコメントしてみました。