精神症状を持つパーキンソン病患者の予後
Free!パーキンソン病(PD)の精神症状に対するClozapineの効果を調べたPSYCLOPS (PSychosis and CLOzapine in PD Study)試験に参加した被験者のうち、試験開始時において患者背景が詳しく分かっていた患者59人を26ヶ月間追跡調査した結果が2003年6月10日のNeurology誌に発表されています。
試験開始時にMini-Mental State Examination (MMSE、精神機能テスト)スコアが25未満であった患者の割合は56%で、療養施設(nursing home)に入所している人は12%、幻覚があった人は95%、妄想を有していた人は69%でした。
その後26ヶ月間の追跡調査で25%が死亡しました。その他、療養施設に入った人が42%、精神症状が継続していた人が69%、痴呆を発現した人が68%いました。パラノイアを有し高齢である人は療養所に入所する割合が高くなっていました。また高齢であり、試験開始時にMMSEスコアが低い人は痴呆を発現する割合が高くなっていました。
以上の結果から抗精神病薬を必要とするPD患者の精神症状は死亡、療養所への入所、痴呆の発現、精神症状の持続と関連があるとわかりました。
療養所入所者のうち28%が2年間の追跡調査中に亡くなりましたが、クロザピンが利用不可能であった頃に実施された試験では2年以内に全員(100%)が亡くなっています。このことから、非定型抗精神病薬は精神症状を有するPD患者の予後を改善する効果があると推測されました。
Longitudinal outcome of Parkinson’s disease patients with psychosis. Neurology 2003;60:1756-1761
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