Metsera社の超長持ちなアミリンの類いがGLP-1薬に比肩する体重減少を示した
 ・ 誤解を訂正しました。8.4%の体重減少がプラセボ群の体重変化と差し引きである旨追記しました。
基底細胞が小細胞肺癌の起源となる
 ・ 表現を訂正しました(基底細胞こそタフト様を含むSCLCの起源→基底細胞がタフト様を含むSCLCの起源となる)
妊娠糖尿病を生じる恐れが大きい女性への食事習慣や運動の指南の効果示せず
 ・ 食事習慣の説明を加えました。

カリウムイオンチャンネルを壊してペースメーカ細胞を作る

Free!
2002-09-17 | コメント

「カリウムイオンチャンネルを不能にすることで心筋細胞を自発的に拍動するペースメーカー細胞に変身させることができた」という研究成果が発表されました。

初期発生段階の心臓細胞はペースメーカーの機能と収縮する機能の両方を持っています。つまり自分でペースを調節しながら収縮しているわけです。しかし発生が進むにつれて心筋細胞はペースを刻む細胞(ペースメーカー細胞)と収縮を専門にする細胞に役割分担していきます。

発生初期の心臓細胞では、カリウムイオンが細胞外へ流出することでペースメーカーの作用が生み出されています。しかし発生が進むにつれて、Kir2というカリウムイオンチャンネルを介した細胞内へのカリウムイオンの流入によって、ペースメーカー機能の原動力である細胞外へのカリウムイオンの流出が阻害されるようになります。こうして大部分の心臓細胞はペースメーカー機能を失い、収縮を専門とする心筋細胞へと分化をしていくのです。

ジョンズホプキンス大学の研究者等は、Kir2というカリウムイオンチャンネルの遺伝子を壊すことで、一度は心筋細胞に分化した細胞にペースメーカーの機能を復活させることができるのではないかと考えました。

研究者等は、Kir2遺伝子に入り込んでKir2タンパク質が出来ないようにする遺伝子断片を組み込んだウイルスをモルモットの心臓に注射し、果たしてモルモットの心筋がペースメーカーのように自発的に収縮の信号を作り出せるかを調べました。すると注射してから3-4日するとモルモットの心筋細胞上に壊れたKir2が出現し、予想通りウイルスが感染した心筋細胞は自発的に収縮の信号を出していることが確認されました。

現在のように機械のペースメーカを埋め込まずとも、近い将来、Kir2を不能にする遺伝子断片を注射することで一定のリズムで心臓を拍動させることが可能になるでしょう。

First Biologic Pacemaker Created By Gene Therapy In Guinea Pigs
http://www.sciencedaily.com/releases/2002/09/020912065906.htm

この記事に対するコメントをお寄せ下さい

[この記事に対してコメントするには会員登録が必要です]

下記のフォームより、有料会員または無料メール会員のいずれかに登録してください。

[会員登録がお済みの方はログインしてください]

コメント一覧

この記事についてのコメントは、まだ投稿されていません。

会員様ログイン
メール会員(無料)募集中

メール会員登録(無料)をされますと、BioTodayに登録された記事を毎日メールでお知らせします。また、メール会員登録されますと、毎週月曜からの一週間あたり2つの記事の全文閲覧が可能になります。

メール配信を希望される方は、以下の欄にメールアドレスを入力下さい。

◇メール会員登録までの流れ

  1. メールアドレスを入力
  2. 入力したメールアドレスに自動生成されたパスワードが届けられる

後は、自動生成されたパスワードと登録したメールアドレスでログインすると毎週月曜からの一週間あたり2つの記事の全文閲覧が可能になります。

質問検索
BioToday 非会員の方へ

質問を投稿して頂くには、メール会員登録が必要です。

会員登録がお済みの方へ

質問を投稿して頂くには、ログインが必要です。
下記のリンクからログインしてください。

My Book

バイオを応用して開発中の新薬を紹介した本です。2001年10月に出版したものです。Amgen社のEPOGEN誕生の経緯やグリベック誕生までの道のりなど、現在販売されているバイオ医薬品の歴史について知りたい方には役に立つのではないかと思います。