Metsera社の超長持ちなアミリンの類いがGLP-1薬に比肩する体重減少を示した
 ・ 誤解を訂正しました。8.4%の体重減少がプラセボ群の体重変化と差し引きである旨追記しました。
基底細胞が小細胞肺癌の起源となる
 ・ 表現を訂正しました(基底細胞こそタフト様を含むSCLCの起源→基底細胞がタフト様を含むSCLCの起源となる)
妊娠糖尿病を生じる恐れが大きい女性への食事習慣や運動の指南の効果示せず
 ・ 食事習慣の説明を加えました。

抗血小板凝集剤は癌の転移を防ぐ

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2003-11-08 | コメント

血小板上に特異的に存在する細胞接着因子・beta3 integrinを阻害する血小板凝集剤・ML464は癌の骨髄や骨への転移を阻害する作用があることがマウスの実験で確認されました。


研究成果はPNAS誌に発表される予定です。

研究者等は当初破骨細胞が癌細胞の骨や骨髄への転移に与える影響について調べていました。骨髄にある破骨細胞はその名の通り骨を分解します。研究者等はこの破骨細胞による骨の分解に乗じて癌が骨や骨髄に転移するのではないかと考えていました。

メラノーマ細胞を通常の野生型マウスに注射すると骨や骨髄を含む体全体に転移していきます。ところが、破骨細胞の活動に重要な役割を担うbeta3 integrinタンパク質の遺伝子を欠いたマウスにメラノーマ細胞を注射したところ、野生型のマウスと同様に体の各部に癌細胞は転移していきましたが、骨と骨髄だけには転移がおきませんでした。

さらに、beta3 integrin遺伝子を欠いたマウスの骨髄細胞を正常なマウスに移植し、その後メラノーマ細胞を注射して転移の状況を調べました。この結果、beta3 integrin遺伝子を欠いたマウスの時と同様に、メラノーマは骨と骨髄には転移しませんでした。この結果からメラノーマが骨髄や骨に転移するのを防ぐ要因は、破骨細胞が存在する骨髄にあると考えられました。ここまでは破骨細胞が骨髄や骨への癌の転移を助長する因子として作用していることを示唆する結果となっています。

しかし次の実験で破骨細胞はどうやら骨や骨髄に癌が転移するのを助長する真の因子ではないということがわかりました。

破骨細胞の機能を抑制したマウスで上と同じ実験をしたところ、骨への転移は抑制されたものの癌細胞は骨髄に転移したのです。

この結果から、破骨細胞以外でbeta3 integrinが重要な役割を担う血小板が癌の転移を仲介しているのではないかと研究者等は考えました。そこで、血小板のbeta3 integrinを阻害するML464を投与して癌細胞を注射したところ、研究者等の思案通り癌は骨髄または骨に転移しませんでした。

ML464を投与して癌細胞を注射すると骨や骨髄以外の場所での転移癌も起き難くなることから、おそらく血小板は癌細胞を吸着して様々な器官に癌細胞を媒介していると考えられました。

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