【増補版】Merckのコロナ薬ラゲブリオを欧州が却下
Free!Merck & Co(メルク)がRidgeback Biotherapeutics社と組んで開発している新型コロナウイルス感染症(以下「コロナ」)治療薬
患者の身になる効果(clinical benefit)が示せてないとCHMPは判断しています。
メルクは不服を申し立て、再考を求めるつもりです。
高リスクコロナ患者の入院/死亡リスクがラゲブリオで半減することを示した2021年10月発表の試験結果は世間を沸かせました。しかしその喜びもつかの間、その翌月にはPfizer(ファイザー)のコロナ薬
Merck & Coのラゲブリオは今では25を超える国々で承認されており、400万人を超える患者に投与され、昨年の売り上げはおよそ57億ドルでした。
しかし見込みより効果が低いことやより優位に立つパクスロビドに押されて今年のラゲブリオの売り上げは約10億ドルに落ち込むとメルクは予想しています。一方、ファイザーは今年のパクスロビドの売り上げをラゲブリオの8倍もの約80億ドルになると見込んでいます。
今ではパクスロビドにだいぶ水をあけられてしまった感がありますが、ラゲブリオへのかつての期待は非常に高く、承認の6か月も前に米国は同剤170万回治療分を12億ドルで購入する約束を交わしています。しかし購入したはよいが不人気で、これまでに米国は290万回治療分のラゲブリオを手に入れていますが、使われたのは半分にも満たないおよそ120万回分のみです。一方ファイザーのパクスロビドは桁違いの約1228万回治療分が提供され、7割近い約821万回分が使われています。
昨夏2022年7月に米国FDAは薬剤師がファイザーのパクスロビドを処方できるようにしました。その優遇をラゲブリオは手にしていません。
昨秋2022年10月に発表された英国での試験結果ではコロナワクチン接種患者がほとんどの被験者へのラゲブリオ投与の入院や死亡の予防効果が認められませんでした。その翌月2022年11月に英国は公的医療でのラゲブリオ使用を却下する方針を示しています。
昨春2022年4月にファイザーはコロナ患者同居人にパクスロビドを投与しても感染を防げなかった試験結果を発表しました。メルクのラゲブリオがその効果を示せれば追い風になったでしょうが、先週発表された国際試験結果でコロナ患者同居人の感染を残念ながら同剤も減らすことができませんでした。
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