悪魔は天使の顔をしてやってくる/動物実験用の幹細胞が人に使用されている
Free!動物タンパク質入りの研究用の安価な臍帯血幹細胞を人の病気の治療用として販売し、患者に数百万円の治療費を負わせている会社が存在することがBBCのドキュメンタリー・Newsnightの取材で明らかになりました。その会社の名前をAdvanced Cell Therapeutics(ACT)社といいます。先日、胚細胞を壊さずに幹細胞が得られた事を発表したAdvanced Cell Technology社と良く似た名前ですが、両社には全く関連がありません。
ACT社の幹細胞はヨーロッパやアフリカのクリニックで使用されています。BBCはまずACT社が使用している幹細胞がどこからきているのかを突き止めようとしますが、なかなかそれが分かりません。
しかし、オランダのロッテルダムでACT社の幹細胞を使用しているクリニックの取材により、BBCはACT社の幹細胞がAllCellsというアメリカのカリフォルニアの企業のものであることを突き止めます。
Robert Trossel氏が運営するロッテルダムのこのクリニックに、オーストラリアからわざわざ治療を受けにきた親子への幹細胞治療の際に、凍結幹細胞のバイアルにAllCellsと記載されていたのです。
この親子の子供・Ethan Reganは、髄膜炎の重度の後遺症に悩まされており、その後遺症を治療するために、評判を聞きつけてロッテルダムのクリニックを訪れたのでした。
BBCの番組では、Reganちゃんに“研究用の”幹細胞が注射される場面も紹介されています。この“研究用の”幹細胞の注射により、Reganちゃんは重度のアレルギーを起こすことになります。
BBCがAllCells社のWEBサイトを調べたところ、販売している幹細胞は研究用であり、バクテリアや異物が混入していないということは保障できないと説明されていました。また、動物性タンパク質が添加されているとも明記されています。
AllCells社のゼネラルマネージャーは、彼等の幹細胞が患者に投与されていたと聞いて大変なショックを受けます。彼はBBCにこう尋ねました。「死んだ人はいますか?」
AllCells社の製品が研究用であることを上述したロッテルダムのクリニックのTrossel氏に伝えたところ、Trossel氏は次のように言いました。「ACT社は間違って不適切な製品を送ってしまったことを認めた。我々はACT社を訴えるつもりだ。また、しばらく幹細胞治療をキャンセルする。」
ACT社はヨーロッパとアフリカへの幹細胞の供給の中継として、英国のグリーンウィッチにある倉庫を使っていました。CryoStoreという会社が、この倉庫でACT社の幹細胞を管理していました。
CryoStore社のマネージャー・Malcolm Wilkinson氏にACT社の幹細胞はどこから来ているのかとBBCがたずねたところ「全てAllCellsからきている」と答えました。
ロッテルダムのTrossel氏は「ACT社は間違って不適切な製品を送ってしまったことを認めた。」と説明しました。しかしCryoStore社のマネージャーの証言からするとこれは矛盾しています。
また、レーベルを取り除いてから幹細胞サンプルを1人のドクターに送るようにACT社から指示されましたが、CryoStore社はそれを拒絶したとのことです。
BBCは、南アフリカのケープタウンにおいて、ACT社に勤務していた2人にコンタクトし、そのうちの1人の医師から患者に投与されている幹細胞がAllCells社の幹細胞であったという証言を聞きだしています。この点からもReganちゃんに使われた幹細胞がたまたま間違いであったというACT社の見解は疑わしいといえます。
BBCはこのケープタウンでのこの2人のインタビューから、ACT社を運営している2人の人物・Stephen Van RooyenとLaura Brownが、アメリカでの不正な幹細胞ビジネスの罪によりアメリカFBIに追われている人物であることを突き止めました。
この2人は、様々な偽名を使って南アフリカに住んでいるとのことです。
ロッテルダムのクリニックのTrossel氏は他の患者にも幹細胞を投与していますが、それらの幹細胞がどこから来たものなのかはTrossel氏は一切明らかにしていません。
BBCは、ACT社の幹細胞がAllCells社のものかどうかをACT社のVan Rooyen氏に問いただしますが、Van Rooyen氏はAllCells社の製品であるかどうかを否定もしなければ肯定もしていません。
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